ステージに立つ者は皆、必ず自分の表現に誇りを持っている。常に何かと戦っている。一生懸命に命を削っている。ホンマか?
おれはそれを強要された事がある。自分の中でうまく嚙み砕けず、ただ与えられた使命かのようにステージに上り、天から与えられた25分を、はやく終わらないかと願う。自信の無さや没入感の不足からくる絶望。それを克服するためにステージに上り、返り討ちにされる日々。誇りなきステージ。
そんなどうでもいい事で悩んでいた事もある。
今はどうだろう?昨今は社会情勢に敏感な人々が多く、バンドマンも置かれた状況と活動の仕方に頭を悩ませずには居られないだろう。中には”乗るしかねぇこのビッグウェーブに”状態のヤツも居るが…。程度やベクトルはどうであれ、誰もバンドマンの悩み話なんて聞きたくないと思っていた。
せめてライブの間だけは、この人たちにカッコ良く居てほしい。そんな勝手な理想と相反する時間が流れる度に、勝手に意気消沈。無意識にもおれはこんな時”カスで居続けよう”と思った。ほんとうに大事な歌を、大事に大事に歌おうと。少しでも音楽に近づくために。
さいなら、おれの誇りなきステージ。
続きは長ったらしいし、読みたい方だけどうぞ❤
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ここからは100年後の死んだ自分のような遠~~~くの目線で綴る。上から目線になったらゴメン。
少し話が逸れるが、最近の音楽人間はすごく真面目だと思う。
「精一杯、戦いに来ました」
「負けるつもりは無いです」
「今日は命燃やしに来ました」
いかにも日本人らしい。戦っている人はカッコよく、本当に勤勉だ。オーディエンスもまた日本人。これを聞きに来ているのだろうから、別に異を唱えるつもりは無い。バンドマンに憧れ、先輩やリスペクト出来る仲間の背中を見て育ち、死に物狂いで努力をして、一生懸命に命を削り続ける。本当に立派だ。その中に本物が居る事も、おれはちゃんと知っている。
が、中には音を狭く切り取りすぎているヤツが居るのではなかろうか。せめて同情くらいはしたい所だが。そんなに勤勉なのであれば、早く俺より良い曲を作って俺を完全に打ち負かしてほしい。あと楽曲を嚙ませ犬にするな。そんな風に音楽を使うな。あ~それどこ見て歌ってんだ。
おれは自信なんて無い。おれは自分の作る歌に自信なんて微塵もない。仰るとおり、自身の無い物を人様に聴かせてるんや。でも勝手に溢れるんだから仕方ないじゃん。聴きたいヤツは聴いてくれ。そんでもって、アンタの芯の部分をおれに聴かせてくれ。”戦っていないのだから負ける事はない”それは違う。音楽ほど、人間力の差が露骨に出るモノは珍しいだろ。
誰の背中も見ていないヤツは、目指す場所が無いという事ではない。むしろ誰よりもはっきりしているヤツも居る。皆にもそれぞれの生き方がある。たとえカスでもカスなりに輝いとけばいい。おれはそれが見たい。
いまは芯の無いヤツでも売れる。たとえカスでも”自分”を持ってるヤツのライブは何よりもカッコ良い。大勢に求められるかは別だが。大衆の心と自己表現に折り合いを付けた中でも、その中でも輝き続けられたら、っつー話。
あぁ痛い痛い。絶対負けねぇ(笑)