銀河を超える光に

地球生まれ、地球育ち、地球語を話す

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せかいにふたりだけ

知らない星にふたり。

 

ぼんやりと遠のく意識の中で、たまたまたどり着いた世界の話。

 

もうこの世界には、二人だけ。青い海も、聳える山岳も、そこに流れる竜脈も全部そこに在るままで、生きとし生けるものはみんな、神隠しのようにフッと消える。この星には生き残ったあなたと、二人だけ。

 

残りの命数えなきゃなんて、あのとき本気で歌っていた。今となっては数えるまでもない。あなたと合わせて、ふたつ。もうふたつしか無いじゃんってわざと口に出して口元だけ笑って見せると、そういう事じゃないって、砂なぞる君。じゃあどうする?その砂粒もぜんぶ数えようか?いままでとは違って、時間なら無限だ。数え終わる頃には、周り廻ってまたこの場所に戻ってくるよ。

 

あんなに広大で未知に満ち満ちていたはずのこの惑星も、今では小さく小さく感じる。界王星くらい。心なしか重力も10倍になる。星の裏側まで手に取るように解るよ、だってどうせ何も無い。何もかもがそのまま在って、実体以外のものが何一つ存在していないんだよ。

 

滅びゆく星で、何を想って眠る?

眠れぬ夜は視野がどんどん狭くなり、想像でいち宇宙をも、こんなにも簡単に創造できてしまった。ひとりだとね、世界を創ることも、夢を見ることも、歌うこともできなかったから。

 

想像の世界にも、永遠は無い。目を覚ませば、まだ夢をみているあなたと、知らない部屋。身を滅ぼしてまで手に入れたかったあなたとの時間は、優しくて暖かくて、時計が音をたてるにつれて味気なくなって、情けなくなって。溢れたため息で少しだけ足どりが軽くなる。

 

この惑星に端は存在しないが、人間をとりまくこの世界にはいつからか端っこが存在する。世間から追放されるべき感情に限って、美しかったり。追いやられた心の行き場は、底の見えない崖。それをはじめて“暗闇”と表現したあの娘は、あなたと同じくらい人の温もりを知っている。

 

いままでは、なるべく周囲を敵だと思い込みながら己を律していたんだ。あなたを味方だと認識できた瞬間、人間になれた気がする。

 

なるべく人間で居られますように。

ヒトのままでも別に、生きていけるけど。

 

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