銀河を超える光に

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走馬灯最後の一枚

どうも。

 

ここで生きてるず オリュウです。

この作品について少しだけ。

 

「旅路果てる街」のMVというか、リリックビデオ的なモノを制作した。この作品は楽曲を完成させるためのピースのひとつ。曲と、ぼくの記憶と、あなたの辿ってきた人生を重ねてはじめて完成する。今作はその中の"ぼくの記憶"の部分なので、映像の撮影から編集まで自分で行った。映像的に何かアクションがあったり、目立ったストーリーがあったりするワケではないので、決して面白いものとは言えない。けれど気持ちを100%詰め込んだモノって、だいたいこうなる。お時間ある方はぜひ、じっくり観てほしい。

 

映像について。撮影は古いデジカメ1台を手持ちで。手振れ補正もナシ。Fujifilmのデジカメは、あんまりクッキリと色が映らない。青や緑が淡く優しく表現されて、たいへん性に合う。ただ如何せん古いので、ピントが合い辛いし、電池もすぐ無くなるし、設定もうまくできない。ちょっと不便なくらいが愛おしいけれど。撮影地は、ぼくの故郷高知と、故郷までの行き帰りの道中。数枚だけ大阪市内で撮ったカットも。大阪から岡山まで鈍行で向かい、そっからバスで高知に。高知はよさこい祭りの時期。街中を中心に、ルーツを辿りあちこちで撮影。そんで高知から大阪まではバスで一本。車窓からの眺めと、SAでちょこっと撮った映像など。それらをほぼ調整ナシで(さすがに真っ暗なカット等はいじった)繋ぎ、歌詞を入れて完成。サイズはHD。

 

 

今年の夏はゆっくり一週間くらいかけて、ひとりで帰省した。
いままで生きてきた時間と、これからの人生との境目に区切りをつける事を決めていたので、産まれ育った街をじっくり見渡してきた。もうこの先しばらくは、ひとりで故郷をゆっくり歩く事は無いから。郷愁あふれるこの街に、いつか胸を張って帰れたらいいなとボンヤリしながら、カメラを片手に景色を集めて歩いた。

 

たぶんぼくの表現のルーツの中で、特に大きい部分は、海と花火とお祭り。ぜんぶこの街で見てきたもの。ミニアルバム「にんげん」のジャケットにはそれを全て詰め込んで描いた。荒波が立つ太平洋は、キレイだけど怖さみたいなモノを持ってる気がしている。雄大な自然を前にすると、ヒトは人間がちっぽけである事に気づく。それと同時に、沸々と湧き上がってくる生命力。この街の活気あふれる人達や、熱の高いお祭りも、たぶんそんな環境から生まれたのだろう。

 

それを全部閉じ込めたかった。なるべく自分の手で、なるべく見たまんまで。だからこの作品は自分で作った。もっと高画質で、もっと精巧に綺麗に作ることはできる。でもこの作品には必要ない。出来上がったモノは、淡くて凪のような風景が、じんわり流れていく映像。コントラストは低く、色味も鮮やかではない。だけどこの作品こそ、楽曲「旅路果てる街」を完成させる為に必要なモノのひとつ。楽曲とこの映像に、あなた自身の記憶を重ねて、各々の頭の中で完成させてほしい。

 

旅路果てる街、まだ何処になるか分からない。

ただ今は生まれ育った故郷が、旅の終着点の一つになればいいな、というくらいに思っている。

 

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