銀河を超える光に

地球生まれ、地球育ち、地球語を話す

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25二十五廿五、にじゅうご、ねんご、はたちあまりいつつ)は自然数、また整数において24の次26の前の整数である。素因数分解は5^2。

 

今日ね、25歳になった。

 

自分の誕生日を自分から祝うことは、基本してこなかった。自分はただ産まれただけで。何か祝っていただけるような成果や革命を、まだこの地球上に残せていないから。いつか胸を張って祝ってもらえるような人間になるために。今までの人生においてこの日は、私を産んでくれた両親に感謝する日。とはいっても、毎年少しばかり贈り物をする程度。

 

天に通ずる塔の根本に身を移し、おれを取り巻く環境はすっかり入れ替わった。しかし未だに17インチのWindowsから外界を垣間見ているおれ自身の生命活動に変化はあまり無い。強いて言うなら、少しだけコミュニケーションが上手になった。初めて会う人と会話をする際も、ある程度まともに受け答えができるようになった。1秒以上合わせられなかった視線が、2~3秒ぐらい合わせられるようになった。とはいってもサーブレシーブのみ。会話を続けるとぜんっぜん襤褸が出る。ヒトは他者の存在を認めてはじめて"人間"になる。が、その他者を意識するあまり執拗に変化を望まぬ性格が仇となりヘリクツじみた持論に拍車を掛け続けている。

ニンゲン。社会においては一人の人間。地球規模で見るとただの小さな細胞の1つ。宇宙の外側から見るとちっぽけすぎてほぼ不可視。空間にログインした時点での生きる意味など特に無く必然的にポップアップする。これを当然と理解はしているものの、己の強大な自意識は収まる事を知らず拡大していき、もうじき太平洋を2つぐらい飲み込んでしまう。だからせめて、この世に生を受けたからには、なるべく沢山生きた軌跡を残し、各地に分身を置いていかないと割に合わない~

輪廻転生やら因果応報やらただ素直に受け入れ、生を喜べるような性格に産まれた方が幾らか幸せだっただろうか。そうすれば皮肉もひねくれも無く、真っ直ぐで淡白な詩が書けたであろう。わざわざ生活に必要のない錘を持ち歩き平衡感覚を狂わせている。それでも。それでも波を立てぬようにゆっくりと飲み込もうとした唾は棘に邪魔されてキレイに喉を通らない。ぁあしばらくおれは、一生生き辛さを感じ周囲にも感じさせながら、意地を通して生きていくことになりそう。せめて証明せねば。己にしか成せぬ表現のみで、世界を納得させたい。

 

いまおれたちは、全宇宙へ飛び立つための準備をしている。沢山の新しい表現方法を試したり、使ったことのないツールを使ってみたり、早寝早起きしたり。地球の隅っこに居るほんのちっぽけな"少年の主張"に過ぎなかった意思の卵が、水面下で少しづつ大きくなっていく。いまはいのちの時間の大半を費やしてこの小さな卵を育てる。いちばん近いセーブポイントは、こと座α星とわし座α星のいちばん輝く日。

 

25歳の2024年。

自らに課した縛りのせいで、"おれ"の雲行きが、少しづつ怪しくなっていく。傾いた軌道の先は、みんなが未だ見た事のない世界。

 

悪いけどみんな、少し先に行かせてもらう。