銀河を超える光に

地球生まれ、地球育ち、地球語を話す

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ひとり(ふたり)

イヤホンを失くしていてよかった。
もしもさっき音楽の中に閉じこもっていたら、こんなにも遠くまで行けそうな気もちにしてくれる景色とにおいと温度、取りこぼしていたかもしれない。ふらり一人で歩く。夜明け前の星と一緒に岡山駅西口を目指して。べつに何の変哲もない街並みが、心地良い気温と相まって、何処までも広がっていくような気がして。

 

ちょうど去年の夏もひとりでここに居た。地元に帰る乗り継ぎで降り立った街。1回歩いた街は、だいたい覚えてる。同じ街でも別の風が吹けば、全く違う景色になる。その全てを覚えていたくてパシャパシャと写真を撮り始めてすぐにやめた。いくら繋ぎ止めても、肌で感じた感触は必ず、時間に溶けて薄れていく。だから写真に閉じ込められたら。だからなるべく沢山あなたと時間を共有できたら。そうすれば忘れてしまっても、思い出せるかもしれないから。

 

本当に大切な記憶は消えない。それを教えてくれたのは、紛れもなく、柄にもなく、間違いなく…
ふたりで居ようなんて口が裂けても言えなかったぼくに、変わるきっかけをくれたのかもしれない。なんて都合よく噛み砕きながら、まだ歩く。

 

要するに、さいきんは一人も悪くないかもと思えるようになってきた。たぶん、もう独りにはならないって安心できるようになったから。もしイヤホンが見つかっても、変わらず星を数えられますように。

 

安心して。シリウスの裏に隠れた星の数なんて、たぶん一生かけても数えきれないから。

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